Shell Blog~環境衛生のエキスパートたちが書く、モノやコト~
2015.02.12
下水処理水を農業用水として、早くから再利用している
イスラエルの取り組みを紹介いたします。
イスラエルも周辺諸国と同様、もともと水量が少ないため、
水資源政策として、海水淡水化に加え下水処理水の再利用を行っています。
淡水化施設能力のシェアではサウジアラビア等の陰に隠れてしまいますが、
下水処理水の再利用率は、76%(2007年)とかなり高いレベルにあります。
※サウジアラビアは20%(2009、猪木博雅「サウジアラビアの下水道事情」季刊水すまし、平成21年冬号より)、
日本は1.5%(2007、国土交通省下水道部より)
また1989年に出されたイスラエル保健省の方針では、
下水処理水は全量農業用水として再利用することとされています。
さらに、衛生的観点のほか土壌や作物への影響を
考慮した、再利用水の水質についての指針も整備されています。
こうした淡水化と下水処理水再利用の拡大には、
当然のことながら多額の経費がかかるため、
民間資金の導入が進められています。
しかし料金の値上げによるユーザーの負担を
増やしかねないという理由で、ブレーキをかける動きが
許認可・監督権限を持つイスラエル内務省から出ているようです。
中東諸国の全体的な傾向として、国外資本を含む
水資源政策の官民連携は、ごく一般的な手法になっています。
しかし参画する側としては、地域情勢のリスクや商慣行の違いもあり、
政策は順調ではないようです。
以上のことを踏まえ、次回は第3部として
日本の「淡水輸出」の可能性についてお送りします。
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